試合は緊迫した展開が続いていた。攻める時は点を取るつもりで攻めるが、今は守りに徹する場面だった。
「また来た、超スローボール!」解説席が騒がしくなる。観客席もざわめき立つ。
投手が投げたボールは、まるでスカイツリーのように高く弧を描いていた。「何キロ?」と誰もが驚く遅さ。前に見たことがないほど遅かった。
打者はバットを構えたまま、驚いた顔でボールを見送るしかなかった。ボールがストライクゾーンを通過すると、観客からは笑いと驚きの声が上がった。