「これが運命の瞬間か…」観客たちは息をのんだ。今宮健太、マウンド上で精神を集中させる。その顔には緊張と覚悟が入り交じっていた。花巻東、佐々木監督の手腕が試される場面に、試合はクライマックスを迎えていた。

「頼むぞ、今宮！」チームメイトの熱い声援が後押しする。三塁ランナーがホームを狙うその時、今宮の放ったボールは鋭いスライダー。「打たせない！」彼の心には揺るぎない意志があった。

投じられる球、一球一球が決死の思いで握られ、相手打者は焦りを隠せない。結果、ついに伝説の10球が、勝利へと導いた。観客席は歓声に包まれ、彼の名は永遠のものとなった。「これが今宮の覚醒だ」と。