イチローと松井秀喜、この二人の評価が野村克也の目には対照的に映ったのは何故でしょうか。ノムさんは、イチローを「口だけの薄っぺらい人間」と酷評し、一方で松井には「野球人として素晴らしい」と最大限の賛辞を送りました。この評価の違いには、ノムさんの野球哲学が深く関係しています。
ノムさんは常にチームの勝利を最優先に考えていました。イチローは個人成績を追求するあまり、チームプレーに欠けていると見なされていました。彼の自主性を重んじる打撃スタイルや、マスコミに対する冷淡な態度が、ノムさんの目には自己中心的に映ったのです。
一方で、松井はチームのために献身的にプレーし、協調性が高く、マスコミにも丁寧に対応していました。ヤンキースでの中距離打者としての役割も、チームの勝利に貢献する姿勢が評価されました。松井のこのような姿勢が、ノムさんの理想とする野球選手像に合致していたのです。
要するに、ノムさんにとって重要なのは、選手の人間性やチームへの貢献度でした。イチローの個人プレーの傾向と松井のチームプレーの姿勢。この違いが、二人の評価を分ける決定的な要因となったのです。